香港は中秋節を迎えました。
今回は中秋節の歴史や意味・過ごし方・伝統的な食文化について私ミシェリーの実体験とともにご紹介します!
過去に香港の百日宴についてご紹介。
併せてお楽しみください。
中秋節とは
中秋節の歴史
中秋節の起源は古代に遡ります。
漢の時代に広まり、唐の時代には旧暦八月十五日を中秋節と確立しました。
潤沢な資金で近隣諸国と外交をすすめ平和な治世を築いた宋の時代には、多くの知識人が中秋節を愛で月にちなんだ詩歌を発表し、現代にもその記録は残っております。
中秋節の意味と由来
中秋節は、毎年旧暦八月十五日に満月を愛でる「月拝祭」の異名を持ちます。
丸く満ちた月を豊かさの象徴とし、家族円満や豊作を願う節目です。
現代香港にあっては中秋節は休日に制定されており、家族で一日過ごすことが好まれます。
香港の中秋節の過ごし方
香港の中秋節の風習
現代香港で中秋節は季節のトレンドとして注目されるもの。
お金が動く時期であり、大きな商戦の一つになっています。
中秋節が近づくと、香港の街の至るところにランタンの装飾がなされます。
夜観光スポットに出向くと美しく点灯しており、デートを楽しむカップルの姿が目立ちます。
フォトジェニックスポットとして愛され、ソーシャルメディアのタイムラインにもそういった様子が流れます。
ホテル、リテーラー、ローカルレストランに行きますと、月餅や湯圓が販売される時期でもあります。
月餅は大切な友人知人へのギフトに使われます。
湯圓は中秋節当日食後のデザートとして食べます。
中秋節当日は、一家の繁栄と幸福を願い家族でテーブルを囲んで月餅や湯圓をいただきます。
家族で楽しむ中秋節のアクティビティ
香港では中秋節を迎えるにあたり、家族で楽しむアクティビティがあります。
ランタンDIY
小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、ランタンをDIYすることもあります。
このランタンは中秋節の夜外をウォーキングする際に持ってあるくためのものです。
写真撮影をしたとき装飾品としても一役買ってくれ、いい思い出となることでしょう。
月餅を手作り
また、月餅を手作りし、友人知人に贈ったりもします。
私も一度手作りの月餅をいただいたことがありました。
お子さんに月餅作りを通して、香港の中秋節の風習を伝えたいという意図があったようです。
このように家族で楽しみながら中秋節文化が継承されているのです。
こちらのサイトでも詳しく紹介(繁體字)。
中秋節の食文化
中秋節は、中華圏に継承される伝統的な食文化に触れられるシーンでもあります。
さて、どんな食べ物を食べているのでしょうか。
ここでご紹介しましょう。
月餅
月餅に込められた意味
中秋節が近づくと、月餅が流通するようになります。
月餅の丸い形は家族の団欒と調和を意味します。
古くからお供え物として重用されておりました。
歴史書に辿る月餅継承の記録
南宋 呉自牧著 「夢梁録」
月餅の普及について記録された歴史書の一つに、南宋代に呉自牧が著した「夢梁録」があります。
この書物には、月餅が「菱葩餅(ひしはなびらもち)」のような形をしていたことが記載されています。
明 田汝成著「西湖遊覧記」
明代田汝成著「西湖遊覧記」には、民間で月餅が流行していた記録があります。
八月十五謂之中秋、民間以月餅相饋、取團圓之意。
(訳:8月15日は中秋節で、人々は月餅を贈り合い、再会を楽しみます。)
もうすでに明代には月餅が中秋節の贈り物として普及していたことが伺えます。
月餅の種類
月餅にはいろんな味の種類があります。
ここでご紹介しましょう。
蓮蓉月餅
黄身の塩漬けを蓮の実の餡で包んだものが入っている月餅です。
香港の中秋節で流通する月餅の多くはこの味になります。
もっちりした蓮の実の餡の甘さと、黄身のしょっぱさが塩梅よい味です。
中にはアヒルの卵の黄身の塩漬けが入っており、満月を表しています。
五仁月餅
餡のなかに五種類のナッツが混ぜられた月餅です。
ナッツには、アーモンド、松の実、ゴマ、ヒマワリやスイカの種、クルミといったものが使われることが多いです。
もっちりした餡にナッツの食感が心地よいです。
金華火腿月餅
餡のなかに刻んだ金華ハムが混ぜられた月餅です。
甘じょっぱい味のバランスが魅力の味です。
桑椹月餅
餡のなかに桑の実(ムルベリー)のエキスを混ぜたフルーティーな月餅です。
流心奶黄月餅
カスタードクリームの月餅です。
縦に切断しますと、中からクリームが流れ出ることからその名がつきました。
月餅には卵黄の塩漬けが使われることが多いところ、食べやすいカスタードが入っていることから人気があります。
お子様や、食べて育っていない私のような外国人にはこの味がおすすめです。
現代風にアレンジされた月餅も
月餅は贈り合うことが重なり、正直なところ食べるのに飽きてきます。
現代では月餅もおしゃれにアレンジされており、消費者に退屈させない味となっております。
例えば、アイスクリームの月餅もありますし、チョコレート・ミルクティー・抹茶といった食べやすい味の月餅も出回っております。
その他の伝統的な食べ物
香港の中秋節では、月餅以外にも次のような食品食材を好んで食べます。
湯圓
湯圓の見た目は白玉。
実際に食べてみると、白玉よりももっと餅感の強い白玉で、モチモチでつるんとした食感が特徴です。
中には餡玉が入っており、生姜のきいたシロップで煮て温かくしていただきます。
スーパーマーケットに行きますと、冷凍食品として販売されており、自宅で手軽に調理できます。
レストランでディナーを楽しむ場合でも提供されることが多いです。
中華圏では慶事のダイニングシーンでよく登場する食べ物です。
中秋節には、ディナーの食後にデザートとしていただきます。
幸せな人生と再会の意味が込められた中華圏の伝統的な食べ物です。
南瓜
秋の風物詩、南瓜!
中秋節には煮物としていただくことが多いです。
主にディナータイムにいただきます。
田螺
田螺は炒め物や煮物にしていただくことが多いです。
臭みを消すために使う香辛料の香りが印象的な一品です。
主にディナータイムにいただきます。
薩摩芋
薩摩芋は蒸し&煮物でいただくことが多いです。
ディナータイムだけでなく、ランチやおやつにもいただきます。
金柚子(ポメロ)
金柚子(ポメロ)は人の顔大の大きな柑橘です。
皮をむいてデザートとしていただくことが多いです。
八宝鴨
八宝鴨は、お腹のなかにモチ米・ナッツ・干し椎茸・ハムをつめて蒸し焼きにしたものです。
ディナータイムのメインディッシュにいただくことが多いです。
板栗鴨
板栗鴨は、鴨を栗で煮込んだものです。
栗の甘さが鴨の旨味を引き出し、とても美味しいです。
ディナータイムのメインディッシュにいただくことが多いです。
私の中秋節体験
それではここで、私が香港で体験した中秋節の夜の過ごし方を時系列でご紹介します。
本来中秋節は家族で過ごすものです。
私は部外者であるところ、友人のご厚意により家族の輪にいれていただき、香港人家庭の中秋節がどんなものか特別に体験させてもらいました。
貴重な機会をくれた友人に、心から感謝致します。
本当にありがとうございました!
午後7時 友人宅で会食
午後7時、友人宅に到着しました。
御主人様と一緒に作った家庭料理を振舞ってくれました。
食卓を家族で囲む温もりに心がほぐれるのを感じました。
香港人家庭で好んで調理される漢方スープで胃腸を労り、おいしくいただきました。
午後8時 ランタン片手に月見ウォーク
食事が終わると、家族でランタンを片手にウォーキングの始まりです。
香港は海に囲まれた都市☝
お住まいの近隣には大体臨海沿いのプロムナードが存在し、提灯を手にした人々が集まります。
美しい海景と光る満月を愛でながら談笑し、歩きます。
午後8時半 月餅とお茶で月見会
ウォーキングを楽しみ程よいスペースを発見すると、そこに腰を下ろします。
持参した月餅とお茶を囲んで月見会のスタートです。
月餅はナイフで切り分け、集った家族や友人とシェアしていただきます。
香港人家庭の中秋節を体験した外国人ミシェリーの感想
今回ありがたいことに、香港人家庭で中秋節を体験する機会をいただきました。
日本で中秋節を特別に寿ぐ経験もなく生きてきた香港では外国人の私ミシェリーの感想をここで述べさせていただきます。
美しくて温かい…。
ハロウィーンに、クリスマスに、年末年始…。
日本でも人と集まるイベントは色々ありますよね?
だけれども、香港の中秋節を比較すると、どこか力が入りすぎた計算高いイベントに感じてならないのです。
例えばハロウィーン。
東京渋谷の交差点では仮装した人々がウォーキングをし賑わいます。
警察が出動するほどに!
だけれども、企画的というか、作られたイベント感を感じてならず一度も参加したことはありませんでした。
一方、香港の中秋節はNatural Beatyなイベント。
家族で集まり食卓を囲み言葉を交わす…人間の営みの自然な発露として行われるものです。
飾らぬ美しさと家族の温かさを感じられます。
夜ランタンを片手に臨海沿いのプロムナードを歩くのも、行政や街が特別に企画し行われるものではなく、個々の意思として満月を眺めながら歩いて会話を楽しむもの。
意図的なハードウェアの演出は特にないのです。
自然と季節を大切な人々と楽しみたい…そういった人々がランタンを手にし歩く。
結果、そういった人々の思いが夜街を灯すこととなり、美しい中秋節の夜となる。
家族や大切な人との交流を大切にする香港ローカルの思いを感じる節目…。
それが中秋節です。
中秋節に香港人家庭と交流し、彼らの内面に人としての美しさを感じて感動!
こういった感性が日本にも広まるといいなと感じました。
香港の中秋節は温かくて美しかった
いかがでしたか。
今回は「香港の中秋節:歴史・意味・過ごし方は?」と題してブログをお届けしました。
香港の中秋節。
家族を大切にする香港人の姿に心が豊かになるのを感じました。
こんな素敵な生き方を私もしていきたいです。
それでは、また!
コメント
商業主義(儲かれば勝)の中国では
月餅は前年の売れ残った餡を再利用したことが報道されて、
誰も喜ばなくなりましたが、
香港ではまだまだそこまで酷くはないみたいですね。
私が中国に居た頃から、ゼリー状の餡とか色々出てきましたが、
オーソドックスな餡が多かったです。
中国の節句は日本と似ているところもありますが、違うところも多いです。
ほかの節句の記事も読めるのかな?
老大 ご指導くださりありがとうございました!
保管節句の記事も挑戦します。
次は何だろう、結婚節になるのかしら?
香港は節分が多くて、とても驚きます。