香港で飲茶は點心(ディムサム)と呼ばれるのをご存知でしょうか。
今回は、香港在住日本人の我が家が利用したとある日の飲茶風景を通して、香港にあるオススメの飲茶レストランをご紹介します。
香港の飲茶文化について
冒頭でも触れましたが、香港で飲茶は飲茶とは呼びません。
実際には、點心(ディムサム)と呼ばれます。
點心(ディムサム)は、香港人の暮らしに馴染んだ食文化の一つです。
もう少し正確に記しますと、香港というよりは中国広東省にルーツを置く食文化です。
香港には中国広東省から移り住んだ人が多く、故に香港で飲茶文化が根付いたと言われております。
利用した飲茶レストランはココ!
この日は友人との会食に利用したので、次のお店を利用しました。
香港ではローカルから大衆的に支持される飲茶レストランの一つです。
私が利用した店舗は、香港島と九龍半島からY字型に少し離れたところにある将軍澳(Tseung Kwan O)というエリアにあるお店です。
このお店はチェーン展開しており、皆さんが香港で宿泊されるであろうホテルからアクセスのよいところに見つかるでしょう。
着席からサーブまで|香港飲茶実践
何のお茶を飲むか尋ねられる
香港の飲茶レストランで着席すると、スタッフからこんな風に尋ねられます。
飲咩茶?(yam me cha/(直訳:お茶飲むか? 意訳:お茶何にする?))
…というフレーズです。
お茶の注文をするときは、次のフレーズを使ってください。
(お茶の名前)+唔該(ンゴーイ)=●●茶、お願いします
十中八九、上記2つのフレーズのやりとりでお茶の注文は済みますので、暗記して使えるようにしておくと良いかと思います。香港の飲茶シーンで必ず使う会話です。
さて、お茶の名称を次項目に記しますので、上記(お茶の名前)のところに入れて唔該(ン・ゴーイ)と合わせて、店員さんにオーダーしてください。
お茶の名称
飲茶レストランでよく注文の入る王道中国茶を5つを次に記します。
- 1普洱茶(ボーレイ)
香港で點心を食べるときに一番注文の入るお茶。見た目のどす黒さと違い中国紅茶に似た口馴染みの良い味が心地よい。飲茶(點心)の油を流してくれる。私のイチ押し☝
- 2鉄観音茶(テックンヤム)
ポリフェノールを多く含むお茶で後味が多く残る。強力に飲茶(點心)の油を流してくれる。
- 3茉莉花茶(ヒャンピン)
日本で言うジャスミン茶。香りが良いので日本の皆さんにも親しまれるはず☝
- 4水仙茶(ソイシン)
鉄観音より尖った味のしない烏龍茶。このお茶もローカルからはよく注文が入る
- 5寿眉茶(サウメイ)
発酵の浅いお茶で軽い口あたり。少しアルコール気を帯びた不思議な味のお茶
以上が代表的なお茶の種類です。
例えば、私イチオシの普洱茶(プーアール茶)を注文するときは…
ボーレイチャ(普洱茶) ンゴーイ(唔該) と注文することになります。
洗杯
お茶を頼むと、店員さんが洗杯のために次のものを持ってきてくれます。
洗杯っていうのは、食器を洗う作業のことをいいます。
香港では自分たちで洗ってから使うんだよ☝
大衆的な店になればなるほど、サーブされる食器は、食べ残しがこびりついていたり、油でベタついていたりします。
お茶で洗って、すっきり付着物や汚れを落としましょう。
ちなみに、高級店でも洗杯をすることが多いよ。
食器が汚れているわけじゃないんだけどね。
香港はSARSの歴史があり、口にするものを警戒するよう教育されてきた人が多いんだー。
洗うのに使うのは、お湯でもお茶でもどちらでも構いませんが、香港ではお茶で洗う方が多いです。
茶葉をお湯で洗い流す意味合いも兼ねているようです。
よって、口にするお茶は、二煎目以降であることが多いです。
お茶で洗う方が、食器に残っている油をすっきり落とせますしね。
洗い終わったら、排水を貯めるボウルはテーブルの片隅に置いてください。
店員さんが下げてくれます。
食器をセットする
洗杯が終わったら、食器をセットします。お店の人が各人に出す食器は次のものです。
驚いた!お皿の上に湯飲み茶椀を置くべし
基本的に、食器の使い方というのは自由です。
使いたいようにお使いいただいて構わないでしょう。
ただ、食器の使い方で、ローカルからすると「あれは外国人だな」と見抜かれることがあります。
私はそれを指摘されたことがあり、とても思い出深い出来事だったので、ここにご紹介します。
あんた、どこから来たんだい?
日本です
どうりで…。食器のセットの仕方が違うよ。
えぇぇぇ!どこが違うの?
湯吞み茶碗はお皿の上に置くのよ
とても驚きました。
香港の點心で、お皿はお茶が溢れてもいいように受け皿として使うものなのです。
そして、空いているスペースには骨や食べられないものを吐き出す…そういった使い方をするのです。
指摘をされたとき、私は湯吞み茶碗をテーブルの上に直置きしており、お皿の上にのせていたものは小椀だったのです。
お茶はヒタヒタに注いでよし
湯吞み茶碗にお茶を注ぐとき、日本では6割位にしておくのがマナーですよね?
香港ではヒタヒタに注がれることが多いです。
一緒に食事をしている人のお茶が減ってきたなと思ったら、多めに注いであげましょう。
お箸は一人二組!
先にも記しましたが、香港ではSARSの歴史がありますので、口にするものの衛生管理の意識が高いです。
食卓につくと、人数分の倍のお箸が用意されることでしょう。
それは一人につき、取り箸と口にするお箸の二組用意されるためです。
指先でチョンチョンチョン|香港飲茶でお茶を注いでもらったら
フィンガーランゲージでお礼を伝える
點心を食べていると、お茶を口にしたくなります。
それは調味料や油を多く使っているためです。
そんな訳で、お茶の減りは早くなり、注ぐことも注がれることも頻度として高いです。
人にお茶を注いでもらうとき、フィンガーランゲージでお礼を伝えるマナーがあります。
指先でテーブルをチョンチョンチョンってタップするんだよ。
フィンガーランゲージの正確なやり方
正確には、人差し指と薬指の先を卓上に添え、中指の先でチョンチョンチョンとするのだそうです。
人差し指、薬指を両手に、中指を頭…つまりこの三本の指は自分自身に見立てています。
このフィンガーランゲージは、両手をついて頭を下げる仕草であることを香港の先達に教わりました☝
フィンガーランゲージ誕生にまつわるエピソード
このフィンガーランゲージにはこんなエピソードがあります。
その昔、王様はお供を携えて街に視察に出ました。
休憩をするために入ったお店で、王様は身分を隠しておりました。
王様は、臣下にお茶を注いであげました。
本来なら、臣下は王様に恭しくお礼を述べるところですが、王様の身分がばれないようにするために、指先でテーブルをチョンチョンチョンとタップして謝意を伝えたのです。
香港の友人と點心に行くと、きっとあなたも教わることになるであろう有名なエピソードです。
メニューの注文
テーブルに、オーダーシートと鉛筆があります。
食べたいものにチェックを入れたら、ホールを歩くスタッフを捕まえて渡してください。
メニューの詳細は、次のようにすると分かります。
スマホの廣東語手寫設定は、日本育ちの私たちには見慣れない繁体字でも、見たまま手書きで入力することができる香港ではとても使えるツールです。
香港滞在中は何かと使えるので、事前に設定しておくとよいでしょう。
オーダーシートは、朝食、昼食、アフタヌーンティー(下午茶)、ディナータイムと時間毎に変わります。
同じメニューでも、時間帯により値段が変わっていることが多いので留意しておくとよいでしょう。
ちなみに、お値打ちに食べられる時間帯は朝食かアフタヌーンティー(下午茶)になります。
香港飲茶で食べたものをご紹介
この会席では、次のものをいただきました。
湯餃
湯餃は、スープに巨大な餃子の浸かったもの。
中に沢山の肉あんが詰まっており、スープに浸かってしみうまです。
スープは、あっさりとした中華だし(味の素の中華スープに胡椒を効かせた感じ)。
二人くらいなら、シェアして食べるサイズです。
シェアするほど親しくなければ、一人一つずつ、頼んだ方がいいでしょう。
大根餅
大根餅は、お店の資質がわかる一品。
これが美味しいお店は、どれを食べても大体美味しいです。
個人的には、写真のような小ぶりのカリッとしたタイプが好き。
大根の生臭さや海老出汁の癖がなく、最高に美味しかったです。
腸粉
點心で、私は腸粉が一番好きです。
これは海老の腸粉。
ぶりんぶりんの海老がゴロゴロ入っていて、最高です。
この他にも、色々な種類の腸粉があります。
私のオススメは、牛肉ミンチを包んだ腸粉です。
ミンチに片栗粉を混ぜて練っており、中の肉餡がもっちりしておいしいです。
こだわっているお店は、肉餡に、パクチーとオレンジピールを混ぜており爽やかな香りがお口の中に広がります。
腸粉は横長で、箸でつまむにはぶらんぶらんしてソースが飛び散るので、画像のように半分に割っていただくことが多いです。
また、割ることで、口にできる人の数が増えるという利点もあります。
例えば、このお皿には三本の腸粉がのっていましたが、半分に割れば六人が口にできることになるわけです。
腸粉の外側は、綺麗に蒸し上げたライスシート。
もちもちプルプル食感で、あなたもきっと虜。
日本ではなかなか出会えぬ味です。
蟹籽滑燒賣
これも香港飲茶の定番メニューです。
中にはぶりっぶりの海老がゴロンと入っており、とびっこがトッピングされています。
口に含んだ時の食感の良さに、驚くことでしょう。
配色にもこだわった一品です。
黄色とオレンジのビタミンカラーがとても印象的です。
紅豆湯
これは所謂お汁粉。
日本のお汁粉ほど甘くなく、さっぱりしています。
中には、白玉や蓮の実が入っています。
オレンジ&ジャスミンのような爽やかな香りがついており一度食べるとファンになる方も多いはず。
飲茶の締めにおすすめの、温かいスイーツです。
これであなたも香港で飲茶マスター
いかがでしたか?
點心、食べたくなっちゃったでしょう?
香港にいらしたら、點心を食べておいしい思い出作りなんていかがでしょうか。
ぜひお試しくださいね!